続・道をひらく

続・道をひらく

松下幸之助

PHP研究所

四季に寄り添い 言葉が心を 静かにひらく

560万部突破のベストセラー『道をひらく』の続編。  1978年末に刊行。人生の真髄とこれからの社会のあり方をしみじみと綴った座右の書。  合計116編からなる本書は、1年12カ月、各月それぞれを章として計12章で構成。各章ごとに季節感のある文章を楽しむことができます。  悩んだとき、心を落ち着かせたいとき、四季折々の、美しくどこか懐かしいこの日本語にふれてください。  読んでいると気持ちが落ち着き、前を向く勇気と元気が湧いてくることでしょう。    「心に期す」  濃い紫の東の空が、いつのまに水色に変わってきたかと思うまもなく、葉を落とした樹々の間から、数条の光がサッと流れ出る。霜がきらめき、身が引きしまる。きびしい寒気のなかの、リンとした元日の朝である。  思い出す。若き日のいつであったか、こんな夜明けを迎えたことを。あの日あのとき、何か心に期するものがあったのか、腕を組み、顔をあげ、凍るような大地に足をふまえて、まだ暗い東の空を凝視していた。  祈るようなその顔を、一瞬、真紅に染めあげた一条の旭光。思わず身ぶるいがして、こぶしを固くにぎりしめる。そしてあふれるように思いがわき出てきたあの感動の夜明け。  新しい年の始めである。新しい世紀に向かっての年の始めである。人それぞれに、心に深く期するものを持たねば、この年の歩みがふみ出せそうにない。  そんなきびしいこの年の始めである。  だからこそ思い起こそう。いつかの日のあのあふれるような感動の朝を。  (『続・道をひらく』より)

松下幸之助(まつした・こうのすけ) パナソニック(旧松下電器産業)グループ創業者、PHP研究所創設者。明治27(1894)年、和歌山県に生まれる。9歳で単身大阪に出、火鉢店、自転車店に奉公ののち、大阪電燈(現関西電力)に勤務。大正7(1918)年、23歳で松下電気器具製作所(昭和10年に松下電器産業に改称)を創業。昭和21(1946)年には、「Peace and Happiness through Prosperity=繁栄によって平和と幸福を」のスローガンを掲げてPHP研究所を創設。昭和54(1979)年、21世紀を担う指導者の育成を目的に、松下政経塾を設立。平成元(1989)年に94歳で没。

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