同調圧力の正体
PHP研究所
その「空気」は誰が作る 暴走する正義と 同調圧力の真実
和の精神が呪縛に変わるとき、それは同調圧力となる。 なぜ、日本の美徳は、見えない暴力へと変わるのか? 私たちはその理由を明らかにしないまま、異端を許さない不寛容さに、 漠然とした「生きづらさ」を感じてきた。「空気」という曖昧な表現で蓋をしてきたからだ。 コロナ禍を契機に同調圧力が注目される今こそ、その正体に迫るチャンスではないだろうか? 本書では、同調圧力が発生する背景、メカニズムを読み解きながら、 同調圧力の「功」と「罪」の歴史を振り返る。 また、こうした歴史が令和の世にどんな現象を引き起こしているのか、 SNSの出現で新たに登場した「大衆型同調圧力」という概念を使いながら分析する。 学校のイジメ、職場のパワハラ、企業の不祥事、SNSの誹謗中傷、暴走する正義――。 すべては一本の線でつながっている! こうした諸問題を引き起こす同調圧力を防ぐ仕組みや対処法とは一体何か? 息苦しい日々に光明が差す、「希望の1冊」だ。
序論 「事件」は共同体の中で起きる コロナが剝がした日本社会のベール 同調圧力の「功」と「罪」は合わせ鏡 エスカレートする圧力 低下する「幸福度」の原因は? 潮目が変わった九〇年代 みえない「正体」に迫る 第1章 なぜ日本社会はこれほど窮屈なのか 1 職場も学校も共同体に変質 プライベートまで面倒をみるのは当たり前? 学校も、PTAも、地方自治体も共同体化 2 同調圧力の背景にある三つの要因 転職を抑制する制度の壁 人間関係を固定化する、閉ざされた集団 拡大する内外格差と「心理的閉鎖性」 「ムラ社会」の浸透は海外駐在員たちにも 意図的にメンバーを同質化させてきた企業の歴史 同質的なほど、〇〇のハードルが上がる 異質が当たり前な「マレーシア」のまとまり方 小さな集団ほど圧力が強くなる? なぜフランスの組織では圧力を受けないのか? 3 加圧装置としての共同体型組織 コロナ禍で強硬措置を控えた理由 政府が命令ではなく「お願い」をする本当の狙い いざとなれば「衣」の下の「鎧」が…… 第2章 圧力をエスカレートさせるもの 1 同調圧力の正体 イデオロギーとしての「共同体主義」 なぜ日本では共同体主義が受け入れられやすいのか 忠誠・勤勉のエスカレートが生み出したもの だれも声を上げられない空気に ベルマーク集めは現代の千人針? 独り歩きする共同体の論理 内部を安定させる装置としての序列 団結を強めるため共通の敵をつくる 2 自粛、謹慎ムードを強化するもの 共同体の中での「承認」は減点主義 共同体主義が葛藤を取り除く! 3 ウチの常識はソトの非常識 閉鎖的な組織の中で生まれる異常な慣行 「共同体の内と外」で温度差が生じる理由 4 それでも幸せだった昭和時代 同調圧力が生産性向上に寄与 管理・干渉がかぎりなく「川上」へ 共同体の「生活丸抱え」による恩恵 乏しい社会資本を共同体が補完した時代 第3章 パンドラの箱が開いた平成時代 1 イノベーションの足を引っぱる工業社会の残像 組織と個人の蜜月時代が終わった 平成は「敗北の時代」 イノベーションと相容れない共同体の論理 「キャッチアップ型」から抜け出せない現実 2 グローバル化、規制緩和の「意外な結果」 論理性より「空気を読む」人材を優先する日系企業 教育現場でも共同歩調志向が強まる傾向 分権化で登場した「ミニ大統領」 地方分権で異端が排除される? 教育界でもみられる「分権のパラドックス」 校長の権限強化で教員が画一化 分権は末端にまで及んでいるか 3 起きるべくして起きた「平成の不祥事」 粉飾決算、パワハラ、イジメ──組織の不祥事の陰に何が? 進む啓発活動の裏側で深刻化する人権侵害 背景にタテの圧力と個人の「未分化」 「承認欲求」が加害行為に駆り立てる 傍観者、被害者も承認欲求の呪縛に そして、共同体主義が「ブレーキを外す」 第4章 コロナで露呈した日本の弱点 1 テレワークと日本型組織は水と油 在宅勤務で生産性が上がったアメリカ、下がった日本 地方移住には、もう一つの「共同体の壁」が 報酬は貢献への対価か、負担への見返りか 2 自粛警察、SNS炎上にみる「大衆型同調圧力」 圧力の方向はタテからヨコへ 何が、タテの圧力を下げるのか 圧力源が権限・序列から「正義」へ 行き過ぎた「告発」に萎縮する現場 「正義・イジメ・ハラスメント」その類似点は? ヨコの圧力に無防備な社会 「コロナより怖い」世間の目 圧力を受けるのには敏感でも、加えるのには無自覚 自粛警察の「出番」は意外と少ない? バッシングをヒートアップさせる「エコーチェンバー現象」 3 コロナ対策が後手に回る必然 露呈された「動けぬシステム」の限界 「変化が常態」という発想が必要に 第5章 同調圧力にどう立ち向かうか 1 同調圧力に対処する三つの戦略 日本の「強み」が「弱み」に 「新たな同調圧力」の脅威をみすえて 2 構造改革戦略 「短期に精算する人事」で退職のハードルを下げる 異なる世界への「多元的帰属」を 発言力確保を目的としたクォーター制の導入を 組織の「外部者」との連携も 仕事や活動を「分ける」 3 適応戦略 「戦時下のパーマネント」に学ぶ ルールを盾に抵抗する 準拠集団を共同体の外に持つ 4 共存戦略 役割と行動を切り離して考える リーダーは「川下の原則」を大切に 「人は人」を徹底する──日本一自殺率が低い町 同調より「協力」を学ばせる 規制、圧力にかわる「第三の方法」